帰って来て顔を洗ってメイクを落とした。
さっぱりした顔で冷蔵庫を開ける。
ケーキの箱を見つけた。父が買っておいたらしい。
中にマロンケーキが3つ。
手掴みで食らった。3つとも犬みたいにガッツイタ。
次にインスタントヤキソバに湯を注いだ。
こっちはお箸でキレイに食べた。
…ソースをかけるのを忘れていタ。
5分後、トイレの便座に顔を傾けた。
喉に手を突っ込んだ。
そのまま泳がせていると案の定、吐き気を催す。
ケーキを吐いた。ヤキソバも丸のまま、吐き出した。
何度も、何度も。
指がぬるぬるしている。開くと膜を張っている。
あぁ、これが胃液なんだな、と思い当たる。
こんな夕飯は初めてだった。
私は罪悪感の塊を常に抱えている。
それは爆弾みたいなものだと自覚している。
指の先から髪の毛一本まで、心の一欠片も、
私はそれが私である事がわからない。
そのどれもに自信がない。
鏡を前に問い掛ける。
「あなたは誰?」
…答えられやしないんだ。
他者との隔たりを思い知る。
私は、「ちがう」。
何人もの言葉が、土管のように脳を過ぎていく。
何も、残らない。残す事ができない。
何を捨てるべきか。何を残すべきか。
言葉の嵐に翻弄されて、なすすべもない。
10年間施設で暮らしていて。
片手のない父がいて。
施設にいた時に母を亡くしていて。
家族を他人のように思っていて。
引きこもっていた。
そんな人なら、私を理解できるのかな。
…わかっている。そうじゃないはずなのに…
明日、仕事を休みます。
あからさまにマトモな声で体調不良を訴えると
案の定そっけなく「お大事に」。(…)
シフト表を見る限り、明日はあの社員さんが一人で仕事をする事になるだろう。息苦しい……ごめんなさい。ごめんなさい。
さっぱりした顔で冷蔵庫を開ける。
ケーキの箱を見つけた。父が買っておいたらしい。
中にマロンケーキが3つ。
手掴みで食らった。3つとも犬みたいにガッツイタ。
次にインスタントヤキソバに湯を注いだ。
こっちはお箸でキレイに食べた。
…ソースをかけるのを忘れていタ。
5分後、トイレの便座に顔を傾けた。
喉に手を突っ込んだ。
そのまま泳がせていると案の定、吐き気を催す。
ケーキを吐いた。ヤキソバも丸のまま、吐き出した。
何度も、何度も。
指がぬるぬるしている。開くと膜を張っている。
あぁ、これが胃液なんだな、と思い当たる。
こんな夕飯は初めてだった。
私は罪悪感の塊を常に抱えている。
それは爆弾みたいなものだと自覚している。
指の先から髪の毛一本まで、心の一欠片も、
私はそれが私である事がわからない。
そのどれもに自信がない。
鏡を前に問い掛ける。
「あなたは誰?」
…答えられやしないんだ。
他者との隔たりを思い知る。
私は、「ちがう」。
何人もの言葉が、土管のように脳を過ぎていく。
何も、残らない。残す事ができない。
何を捨てるべきか。何を残すべきか。
言葉の嵐に翻弄されて、なすすべもない。
10年間施設で暮らしていて。
片手のない父がいて。
施設にいた時に母を亡くしていて。
家族を他人のように思っていて。
引きこもっていた。
そんな人なら、私を理解できるのかな。
…わかっている。そうじゃないはずなのに…
明日、仕事を休みます。
あからさまにマトモな声で体調不良を訴えると
案の定そっけなく「お大事に」。(…)
シフト表を見る限り、明日はあの社員さんが一人で仕事をする事になるだろう。息苦しい……ごめんなさい。ごめんなさい。
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